以前、BitZenyが抱える特異な現状について記事を書きました。
そこでは既に現開発陣がいたことから、開発者不在の話は避けましたが、ここにきて初代開発者のorphanateさんがいないことの弊害を感じてきているようです。
もはやorphanateさん自体はどうでもいい存在ながら、そこに紐づくTwitterやWebサイトのアカウント管理がポイントのようですね。


昨年12月、ビットゼニーの価格が高騰したのを機に姿を見せた初代開発者ですが、今回の「お願い」で事実上の追放をコミュニティから突き付けられました。
今後の成り行きに注目が集まっています。
さて、この強固なコミュニティを有するZNYですが、5ちゃんねるで気になる書き込みを見つけました。


前回の記事では「発行済2億ZNYのうち1億ZNYを40アドレスで保有」と書きました。
そのため、私は「40アドレス(実質40人より少ない)で過半を保有」という認識でしたが、上記の書き込みは8割と書いていて気になりますね。
今回は、この書き込みの根拠と分布状況について少し調べてみました。
ビットゼニーの保有状況
上位アドレスに偏在しているビットゼニーの保有状況ですが、この事実は変わりません。
Web Archiveで保存されていた情報があったので、現在の保有・分布状況と照らし合わせて確認してみたいと思います。
調べてみたところ、前回の記事で「アドレスを分散させて保有しているようだ」と書いていた部分が少し明らかになりました。
2017年7月時点の保有状況
総有効アドレス数:32,433
まずは、貼られていた2017年7月16日時点の上位保有者の情報です。


今ではいない10,000,000ZNYを保有しているアドレスもあります。
2018年4月現在の1位(6,281,789ZNY)の保有者が入っても、6位になるくらい上位に大量保有者がいたということですね。
では、その第1位~第5位にいたアドレスはどうなったのでしょうか?
ちなみに、第100位までで1億5,323万枚を保有しているので、3万2千アドレスのうち100アドレスで発行済枚数の70%超を保有していることになります。
2018年4月現在の保有状況
総有効アドレス数:70,904
アドレスの数は2倍以上に増えました。
アドレス自体はウォレットから何個でも発行できるので、これがユーザー数の増加というわけではありません。
BitZeny長者番付 第1位〜第100位(リンク切れ。)
https://anban.info/zny


偶然にも第10位のZNY保有数は2017年7月時点と同水準のようです。
ただ、上位の保有量が減っている感じがしますね。
2017年時点で第5位の人でも、現在なら第1位に位置することになります。
大量保有者のZNYはどこへ行ったのか?
では、2017年7月当時の上位大量保有者のZNYはどこに行ったのでしょうか。
値上がりによって売却されてしまったのでしょうか。
追いかけるのは難しい
上位保有者のアドレスを BitZeny Block Explorer Insight で通貨の流れを追ってみましたが、可視化するようなツールがないと難しいです(無理がある)。
単純に個人のアドレス間で移動させているケースは分かりやすいのですが、取引所や投げ銭のようなバルクで管理しているようなウォレットに入ると、それ以降の流れが「判断できない」とせざるを得ません。
その後、また同じアドレスに戻ってくれば良いですが、別のアドレスに出金されてしまうと、事実上そこで追跡は終わりということになります。
想像はできるのですが、恣意的に判断を入れるわけにもいかないので、こういうケースは触れないようにします。
あと、共通して見られるのが、送金した後に保有アドレスを変えている点です。
このように、誰かに送金すると同時に、新しく発行したと思われる自分のアドレスに残金を送金しています。
そのため、大量保有者のアドレスは送金のたびに変わっています。
(2018年4月22日追記)上記の仕様は多くの仮想通貨に共通する仕様上の挙動で、意図的にアドレスを分散させるものではありませんでした。お詫びして取り下げます。
アドレスの分散
これが唯一分かるパターンで、別のアドレスに分散させているケースです。
2017年7月の第1位にあったアドレスが分かりやすかったのですが、1,000万ZNYを2分割して、それぞれのアドレスで2018年4月の第4位・第5位に位置しています。
同じような動きをしているアドレスは他にもあり、2017年第2位のアドレスは6つのアドレスに分割したようです。


なぜなんでしょうね。
アドレスの分散は外形的にも判断できそう
下の表はランキング上位のアドレスの入出金件数を、2017年と2018年で比較したものです。


2017年7月の上位アドレスは入出金が多く、2018年4月の上位アドレスは「このアドレスに入金しただけ」のアドレスだということが分かりますね。
いわば「保管用アドレス」ということで、その数百万~数十万ZNYの出所を考えると、もともと大量保有していた人のアドレスであることが想像できます。
この傾向は2018年の20位以下を見ても同じなので、2018年に上位のアドレスは「保管用アドレス」が多そうです。
この判別以外は正直難しいと感じました。
2018年4月の保管用アドレス
この単発の入金しか存在しない「保管用アドレス」という観点で見ると、2018年の上位アドレスには顕著な傾向があるようです。
上位100アドレスのうち、実に60アドレスが単発的な入金のみで出金のないアドレスです。
どこからの上位アドレスから流れ来たと考えるのが自然だと思います。
2017年から変わらないアドレス
もちろん、2017年4月からアドレスが変わらず、ほとんど保有量も変わらないアドレスもあります。
2017年7月の上位100アドレスのうち、7アドレスは現在も同じアドレスのまま上位100位に入っていました。
これが多いか少ないかは分かりませんが、個人的には少ないように感じます。
2017年7月の上位保有者は、何らかの理由でアドレスが変わっているということです。
結論
「取引を追うのはなかなか難しい」というのが個人的な結論ですが、


このような事実はないだろうということは言えます。
もともと取引所・プールなどのサービスで使われているアドレスを含む上位100アドレスで7割だったので、現在も上位20人で8割というのは無理がありそうです。
ただ、下記の状況も事実として確認できました。
- 大量保有者はアドレスを分散(追えたものでは6アドレスに分散)
- 上位100位までの「保管用アドレス」で9500万枚を保有(発行済の47.5%)
ビットゼニーの価格が1円上がるごとに2億円の時価総額が上がるとして、そのうち半数は上位大量保有者の評価益となる構造ですね。
株でも浮動株が非常に少ない銘柄もありますし、これ自体は珍しくないことではあります。
コミュニティ自体は盛り上がっている通貨ではありますが、こういう背景のある通貨であることを理解したうえで、トレードやマイニングに参加されることをオススメします。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この記事がBitZenyの一つの歴史を知るうえでお役に立てば幸いです。