仮想通貨の「販売所」と「取引所」の違いとは

仮想通貨の「取引所」と「販売所」の違いとは

 

仮想通貨の「販売所」と「取引所」の違い。

正しく理解できていますか?

待ちに待った仮想通貨取引所の口座を開設して、「さぁ、取引するぞ」と思ったとき、まず最初に立ち止まるのが「販売所」と「取引所」という2つの取引方法の違いです。

10年以上の株式投資や外為証拠金取引(FX)などの投資経験がありますが、最初は聞き覚えのない「販売所」というものにピンときませんでした。

そこで今回は、私も迷った「仮想通貨販売所」と「仮想通貨取引所」について、その違いとメリット・デメリットを説明してみたいと思います。

これを理解せずに仮想通貨の世界に飛び込むのは、武器を持たずに戦地に赴くようなものです。たぶん。

販売所と取引所の違い

仮想通貨交換業者(coincheck, bitFlyerなど)が用意している「販売所」と「取引所」の違いですが、簡単に言うと「売り買いの相手方が誰か」という仕組みの違いです。

販売所は取引の相手方が仮想通貨交換業者で、取引所は取引の相手方が皆さんのような市場参加者です。

そして、その仕組みの違いが、利用者から見た注文方法や手数料などの違いとなってくるんですね。

もう少し詳しく説明していきます。

販売所とは

販売所は取引の相手方が仮想通貨交換業者なので、業者が提示した価格で売買取引をすることになります。

販売所の取引にあたっては、下記のように交換業者から購入・売却の価格が提示されています。この提示された価格に対して、一定時間以内に注文を出す流れになります。

仮想通貨販売所

 

交換業者は販売所で受けた注文を海外の取引所にカバー取引を出しています。これは外貨預金やFXと同じ仕組みで、実際には一定量のポジションが溜まったら、交換業者はカバー取引を行っているものと思われます。

カバーが行われないうちは通貨残高が利用者の口座を行き交いするだけで、その売買手数料で取引所は収益を上げることができます(外国為替の場合、これを為替マリーやマリー益といいます)。

取引所とは

取引所は取引の相手方が市場参加者なので、そのときに市場参加者が出している取引価格で取引することになります。

そのため、現在の価格に関係なく、取引したい価格で売買注文を出しておくことができます。

取引所の方は株取引と同じザラバ方式を採用しているので、取引方法についてはイメージしやすいのではないかと思います。

仮想通貨取引所

 

参加者から提示された価格がマッチングして初めて取引が成立し、交換業者は取引システムを提供するという役割を担います。

どちらを使うのがいいの?メリット・デメリットは?

販売所と取引所の違いは理解できたと思いますが、それでは利用者としてはどちらを使うのが良いのでしょうか?

提示された価格に対して売買注文を出すだけの販売所。どんどん価格が変わって売買タイミングが難しそうな取引所。迷いますね。

日本国内の大手交換業者に限定した話ですが、基本的な考え方としては以下のようになります。

取引所と販売所のどちらを使うべきか
  1. 注文方法や売買手数料を考えると取引所しかあり得ない
  2. アルトコインの売買は販売所を選ばざるを得ないケースも

 

要するに、取引所を使えるなら取引所を使おうということです。

販売所は交換業者が提示する価格で取引を行うわけですが、その価格には交換業者が受け取る売買手数料が含まれています。

さらに、その手数料というのが、取引所で発生する一般的な取引手数料よりも相当割高な設定になっています。手数料は損益分岐点に直結するため、少しでも安くするのに越したことはありません。

一方、取引所は参加者同士が提示する価格が合致した場合のみ取引が成立するため、販売所のように売買価格に開きはありません。交換業者も取引所では取引金額の0%~0.15%という安価な取引手数料を設定しています。

どこの交換業者もビットコイン(BTC)は取引所を設けているので、ビットコインを販売所で取引する合理的な理由はありません。

しかしながら、イーサリアム(ETH)やライトコイン(LTC)などのアルトコインについては、販売所のみ用意されていて取引所は用意されていないことがほとんどです。

販売所のメリット

取引所が相手方となるため、そのときに提示されている価格で必ず売買できます。

また、取引所では提供されていないような豊富なアルトコインも取引できる交換業者もあります。

販売所のデメリット

メリットの裏返しで、そのときに提示されている価格でしか注文できません。

また、交換業者が設定する売買手数料が取引所よりも割高に設定されているため、取引所を使うよりも手数料が高くなってしまいます。

相場の値動きの激しさ(ボラティリティ)によって手数料率は変動しますが、一般的に取引金額の片道3%~5%が取引手数料として設定されているようです。

コインチェックの売買手数料

 

取引所のメリット

取引したい価格に注文を出しておくことができ、さらに売買手数料が安く済みます。

狙った価格に注文を置いておく指値が使えるため、販売所のように「そのときの価格でしか取引できない」ということがありません。

もちろん、成行注文を入れれば、価格を指定しないでも取引所にある売買注文に対して売買することができます。

取引所のデメリット

現状、取引所で扱われているアルトコインは多くありません。

多くの交換業者はビットコインくらいしか取引所を提供していないため、アルトコインが欲しいと思っても、国内の取引所では売買できないケースが大半です。

ポイントサイトでもレートの違いがあります

ポイントサイトでポイントをビットコインに交換できるのですが、そのビットコインの交換レートにも大きな違いがあります。

あるサイトは取引所レートに近く、あるサイトは販売所のレートに近いというような具合です。

Point Exchange ロゴ

PeX(ペックス)のビットコイン交換レートを検証した結果

2018年4月4日
Gpoint(ジーポイント)

Gpointのビットコイン交換レートを検証した結果

2018年3月19日
moppy(モッピー)

モッピーのビットコイン交換レートを検証した結果

2018年3月9日

 

販売所と取引所は賢く使い分けましょう

ここまで説明してきたとおり、販売所と取引所には明確なメリット・デメリットが存在します。

株式やビットコインくらい取引に厚みがないと、残念ながら取引所のザラバ方式は成立しません。市場参加者が増えて通貨の流動性が高まらない限り、アルトコインを取引所で取り扱うことは難しいでしょう。

実際に仮想通貨を売買する私たちとしては、取引所があるなら取引所で、販売所しかないのであれば販売所で、という使い分けが必要です。

販売所と取引所。その違いを理解しながら賢く使い分けたいですね。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事が取引所と販売所の使い分けのお役に立てば幸いです。




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