GPUマイニングしているグラフィックボードの最適温度とは

マイニングの熱対策

 

この記事ではマイニングで熱くなってしまうGPUで問題のない最適な温度を説明しています。

先に結論を書いておくと、海外マイナーたちが集うフォーラムでは「製品としては”75度以下”なら問題ない水準で使い続けられますが、不安なら”69度以下”に抑えるのがいい」という答えを導きだしていました。

夏場は外の気温が上がって室温も上がるので、マイニング中のGPUの温度もグングン上昇するので不安になりますよね。冬ならマイニングによる排熱が暖房代わりになるかも知れませんが、外も暑い夏場にそんな悠長なことは言っていられません。

私の環境では、何もチューニングしないで冷房もなく送風だけしていると、気付いたらGPUの温度が80度近くまで上がっていたりします。そのため、今は70度を上限に見ながら MSIが提供しているアプリの”Afterburner”を使ってPower Limitを調整しています。

グラフィックボードの温度管理

ただ、この「70度」という温度が問題を起こすレベルで高いのか否か、イマイチ分かっていませんでした。5ちゃんねるのマイニング初心者スレでも、定期的に温度の質問が出ていてます。「何度にすればいい?」「65度にもなった」「いつも80度くらいあるよ」など、人によってマイニング中の温度管理もマチマチな印象です。

ということで、今回はGPU(グラフィックボード)の適正な温度について、海外のサイトで参考になりそうな情報を見つけたので意訳を中心に載せてみたいと思います。実体験と合わせてみても、かなり納得感のある結論だと感じています。

GPUの適切な温度とは

GPUの最適な温度については、日本以上に海外マイナー勢が活発に議論を繰り広げていました。使っているグラフィックボードによる違いはありつつも、概ね結論が出ている状態のようです。

Safe GPU temp – Optimal GPU mining temperatures for GPU longevity(Coin Guides)

グラフィックボードの安全な温度と前提

まずは、温度を考える際の「前提条件」と「最適と思われる温度」についての意訳です。下線赤文字と ※ は重要だと思われるポイントに私が付け加えたものです。

まず最初に、最近のグラフィックボードは、すぐ壊れてしまうほど脆いものではありません。ただ、高温に耐えられるように作られてはいますが、長く耐えられるわけではありません。

2つ目に、グラフィックボードはビデオゲームを遊ぶために作られた製品であり、仮想通貨のマイニングのために作られたものではありません。24時間365日のマイニング自体はGPUにダメージを与えることはありませんが、はハードウェアにダメージを与える主要因のため、高温でのマイニングはGPUにダメージを与えてしまいます。

3つ目に、グラフィックボードはメーカーによって異なるTDP(※ Thermal Design Power、消費電力だと思ってOK)の水準が設定されています。また、GPUによってマイニングするアルゴリズムも温度も異なるので、一概に安全な温度を定義することはできません。ただ、最新のGPUは75度かそれ以下にするのが総合的に見て良いと言えそうです。それでもまだ不安な場合は、69度以下を維持するようにすれば良いでしょう。

この記事に書かれていることは、個人的にとても納得感があります。暗号資産のマイニングのような使い方は想定外だとしても、普通にゲームで使っていても高温になるパーツではあるので、そもそも相応の温度に耐えられるように作られているのは間違いないと思います。通常利用でも熱くなるので当然ですよね。

また、私の環境(GeForce GTX)ではGPUが70度を超えるとGPUのクロック数が目に見えて落ち始めるので、きっと70度近辺に何らかの閾値があるのだろうと考えていました。そのため、冒頭で書いたようにMSI のAfterburnerで70度以下をキープすべく、設定項目にあるPower Limitを絞って処理能力を落としてでも70度を超えないように運用しています。

GPUの温度管理はMSI Afterburnerで

2018年6月1日

GPUの温度別チャート

次は、Coin Guides にも載っているGPUの温度帯別のチャートです。原文ではEtherium Forumから引用したと書かれていますが、さらに元をたどるとイーサリアムではなくドージコインのDogecoin Redditが出典のようです。

GPUの温度別チャート

こちらも簡単に意訳しておきます。

0度~29度:

まずはPCの電源を付けた方がいいと思います。

30度~49度:

この温度ではマインクラフトをやる以外、まともなタスクはこなせないはずです。本当にGPUマイニングしていますか?

50度~60度:

もっとGPUを効率的に働かせられるはずですが、アンダークロック(※ 動作クロックの周波数を下げること)していませんか?

60度~69度:

ここが十分なハッシュレートになる温度で、効率的かつ節電もできています。Good!

70度~75度:

良いハッシュレートが見込め、最新のグラフィックボードにとっては最適な温度です。定格の消費電力の85%未満で出せるようにしましょう。もし寒冷地に住んでいるのであれば、部屋を暖めてくれる良い温度です。

75度~79度:

この温度では大多数のGPUが問題なく動きますが、GPUをもっと効率的に動かすために、もう少しだけ安全な温度にする方が良いでしょう。

80度~89度:

多くの電力を無駄にしています。この温度帯の場合、問題なく動いているように見えて、確実にハードウェアはダメージを受けています。消費電力を下げて、少なくとも70度半ばまで温度を下げましょう。

90度~99度:

この温度では鶏肉を調理することができますが、それならばオーブンを使うことをオススメします。GPUは深刻なダメージを受けています。グラフィックボードが燃える前にマイニングを止めて、GPUがどうなっているか調べた方が良いでしょう。

100度~109度:

この温度ではGPUがいつまでもつか分かりません。幸運にも保証期間内なら交換してもらえますが、そうでないなら燃え尽きるでしょう。

110度以上:

すみません、これ以上の選択肢は持ち合わせていません。GPUを棺桶に入れて、これ以上は読むのを止めてください。

 

早々に最適な温度の説明が終わってしまったので、あとは面白おかしく高温状態への警告を書いている感じですね。Dogecoin Reddit が出所だけにユーモアのある人が多いのでしょう。

結論としては、GPUに最適な温度は60度~75度ということです。80度以上は避けた方が良いデッドゾーンのようですが、これを維持するのは発火で火事にもなりそうで普通に怖いですよね。

ただ、意訳には含めていませんが、Coin Guidesの冒頭にある文章で「費用の回収期間」を優先するか、「マイニングできる期間(寿命)」を優先するかで考え方は違うということに触れています。興味あればぜひ原文を読んでみてください。

Safe GPU temp – Optimal GPU mining temperatures for GPU longevity(Coin Guides)

GPU寿命を延ばすためのTips

最後に、GPUの寿命を延ばすためのTipsも紹介されていたので、こちらに意訳しておきます。特に新しい情報はないですが、GPUマイニングの基本を押さえる意味で、あらためて読んでみても良さそうです。以下は意訳したものです。

GPUの温度は75度を超えないようにすべきという経験知をもとに、GPUを冷やすことはGPUの寿命を延ばすことにつながると考えています。そこで、これからマイニングを真剣に行うにあたって、GPUの寿命を延ばすためのTipsをいくつか載せておきます。

 

換気について

全方向に開けているマイニングリグには当てはまりませんが、これはゲーミングPCでマイニングしている場合に当てはまります。もしPCに2つ以上のファンが付いてる場合はファンの回転数を最大にしましょう。もしPCケースの片方しか空いていない場合、GPUに十分なエアフローが確保されているかを確認してください。また、マイニングリグを構築している場合、グラフィックボードの間隔が十分かを確認してください。

 

マイニングしている部屋の空調

これは多額の投資になりますが、もし2つ以上のマイニングリグがあり、温暖な地域でマイニングしている場合、部屋自体を冷やす方法を考えた方が良いでしょう。もし部屋にエアコンがない場合、マイニングルームのエアフローを改善するため、全ての窓を開けて外気用のファンを取り付けることを考えましょう。

 

リグの掃除

マイニングリグは常にオープンな状態のため、とてもホコリが溜まります。大量のホコリはGPUの故障につながるため、少なくとも月に1回はPC・マイニングリグを掃除するようにしましょう。

 

GPUの温度を監視

マイニングソフトは消費電力の外にもGPUの温度を表示しているはずです。加えて、MSIの Afterburner やTech power upの GPU-Z を使って、VRAMやGPUの温度をモニタリングしましょう。

 

GPUをオーバークロックし過ぎないように

オーバークロックさせることで、より高いハッシュレートを出すことができますが、やり過ぎてストレスを与え過ぎないようにしましょう。オーバークロックはMISのAfterburnerなどを使って、自分のグラフィックボードの最適なポイントを確認してください。最近のグラフィックボードは、より少ない電力・発熱で、より良いパフォーマンスが出るように作られています。

 

重要なのは、掃除エアフロー温度管理の3点ということのようです。当然ですよね。普通の環境で75度未満という温度管理をするなら、冬の外気に頼らない限りはオーバークロック(OC)の余地はないでしょう。

グラボは製品のライフサイクルも比較的長いので、性能の飛躍的な向上がない限り、新しい製品ができてもASICほど早く産廃になる(使い道がなくなる)ことはないと思います。せっかく安くはないグラフィックボードを購入したなら、少しでも長く使いたいですね。

エアフローについては、私はUSBファンで送風してグラフィックボードに「熱だまり」ができないようにしています。会社に置くような卓上扇風機は非力なので、より高い電力を扱えるUSB3.0に対応したエレコムの大風量USBファンを使っています。

USB3.0だと900mAまで給電できるものの、残念ながらUSB2.0の上限500mAを超える強力な卓上ファンは皆無で貴重なのでオススメです。

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MIS Afterburnerを使ったグラフィックボードの温度管理の方法についても記事にしていますので、良かったら参考にしてください。

GPUの温度管理はMSI Afterburnerで

2018年6月1日

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事がGPUマイナーにとって温度管理の参考になれば幸いです。




マイニングの熱対策