PCでCPUマイニングしていると、CPUの搭載されている周辺パーツが熱くなって、温度を下げようと内臓ファンが大忙しな回転をし始めますよね。
特に、吸気(エアフロー)が悪くCPUの温度が90度近くになると、ファンの回転スピードが一段ギアを上げてきます。もはや悲鳴に近い音になるので不安になる人もいるでしょう。これは、さすがに「全く問題ない」ことはないにせよ、気にしなくても大丈夫なものだとは思えません。
ネット上には熱対策についての情報が色々と出回っていますが、どれも仮想通貨のマイニングほどCPUを酷使する前提の情報ではありません。
酷使するとしても、せいぜいオンラインゲーム程度の話ばかりのようです。ときにオーバークロックまでして全力で演算能力を使い続けるマイニングに比べたら、どんなゲームであろうと大したCPU使用率ではありません。

ということで今回は、そんなCPUマイナーの誰もが悩む「熱対策」について、メーカーサイトを調べて分かったことや私が実際にやっていることをご紹介したいと思います。
前提となる環境
まずは前提となる環境についてですが、この記事は熱対策がしにくいノートPC(ラップトップPC)に絞っています。熱対策のしやすいデスクトップは対象外です。
前提として私が使っている環境は下記のとおりです。数世代前くらいのスペックですね。
- OS:Windows11
- Intel Core-i5 第7世代
- Bitzeny・KOTOをminerdでマイニング
- サードパーティー製のアプリで温度などを測定
- 背面吸気(裏から吸って横に排気)
デスクトップPCはCPUのファンも大きいので、サイドパネルを開けてエアフローを考え、CPUファンに向けてUSBファンや扇風機で送風しておけば大丈夫でしょう。格段に熱の発生量が大きいグラフィックボードでも扇風機やサーキュレーターで横から風を当てれば大丈夫ですし、CPUの排熱なんて楽勝です。
実際、風を当てていないRyzen7 1700(CPU)と、風を当てているNVIDIAのGTX(GPU)2枚を比べてみても、GPUの方が温度が+5度くらいです(風を止めると+10度はいってしまいます)。
CPUの熱対策
それでは、暑いシーズンを迎えるときに備えて心の準備をしておきましょう。夏は通常の用途であっても、CPUが「熱くてヤケドしそう」と感じるくらいになる季節です。
CPUの熱対策は必要か
いきなり結論ですが、ノートPCのCPUマイニングにおいても「そこまで熱に敏感になり過ぎる必要ない」という話になりそうです。ただし、温度はパフォーマンスにも影響するので、CPUを冷やすに越したことはないでしょう。あくまでもパフォーマンスのためです。
Intelの公式サイトでは
Intel の公式サイトでCPUについて調べてみましたが、「温度の耐熱範囲はプロセッサによって異なる」とのことでした。

自分のプロセッサを調べる方法は、「”Windowsボタン”をクリック > “system”と入力して検索 > “システムアイコン”をクリック」で表示される画面に記載されています。
コントロールパネルにある「システム」の画面です。

上の画像で確認したところ、私の場合は「Intel Core i5-7200U」がプロセッサということです。
CPU別に上限温度を調べてみると
インテル公式サイトに書かれていた「技術マニュアル」というのは、下記のページで確認できます。ここではCPUごとに耐熱温度の上限が記載されています。
先ほど確認した私のCPU(Intel Core i5-7200U)の技術仕様書を見てみましょう。

このTjunctionというのが耐熱上限の温度です。

要するに、CPUは100度まで耐えられるということですね。ちなみに、私は90度まで上がっているのは見たことありますが、それ以上の温度になっているのを見たことはありません。これにも理由があるので、この後に公式サイトでの説明を載せておきました。
具体的な熱対策
それでは実際の熱対策について書いてみたい思います。現実的なものから挑戦的なものまで、私自身が実際に使い分けている方法です。
- ファンと吸気口を掃除する
- minerd(マイニングツール)で使うスレッド数を抑える
- 保冷剤で冷やす
- 吸気口の風通しを良くする
- 室温を下げる
- 気温が高い時間はマイニングを止める
1. ファンと吸気口を掃除する
ホコリでファンの冷却能力が落ちてしまうので、掃除は基本中の基本ですね。これはCPUでもGPUでも変わりません。
ノートPCでもカバーを外せますが、吸気口を掃除機で上から吸うだけでも目に見える範囲はキレイになります。掃除だけは定期的に行いましょう。
2. minerdの使用スレッド数を抑える
マイニングに使用するスレッド数を落とすとハッシュレートは落ちますが、CPU使用率を下げれば発熱を抑えられます。当然、これも効果が高いです(CPUを使わないというだけの話なので)。
使用するマイニングツールがminerdであれば、使用スレッド数を1つだけにする -t 1 が、スレッド数でコントロールできる最低限の温度になります。
赤字の部分がスレッド数の指定です。
3. 保冷剤で冷やす
「結露でショートする可能性がある」ということで賛否両論あるようですが、これは普通に問題ないと思っています。

というのも、本体内部で結露が発生するとしたら、CPU含むPC内部が急速に冷えて外気よりも低温になる場合です。PCが普通に駆動していたら起こりえない話ではないでしょうか。
マイニングしていなくても、CPUは常時30~40度になっています。普通に考えて、結露するほど外気よりも低温にはなることは考えられません。私は2シーズンほど保冷剤を活用しましたが、これまで全く問題は起こっていません。
冬場に起動していないPCを寒い部屋から暖かい部屋に移動させる方が、よほど結露する可能性高いですよね。これは理屈上も結露する可能性あると思います。
4. 吸気口の風通しを良くする
これはGPUと同じように、吸気口付近に「熱だまり」ができないようにするものです。
グラフィックボードでマイニングリグを組んでいる人が、グラボとグラボの間に熱だまりができないように、サーキュレーターで送風しているのと同じ話です。
- 背面吸気の場合は、PC本体を少し浮かせる
- 吸気口に熱だまりができないように送風する
これだけでも温度は下がること間違いありません。グラフィックボードの冷却では定番中の定番ですね。

5. 室温を下げる
どれだけファン周りをキレイにして風通しを良くしても、室温が高いと冷却効果にも限界があります。
そのため、クーラーや外気で空気自体を下げてしまおうという話です。これもGPUマイニングでもよく提案されている方法ですね。冬は外気だけで十分でしょう。
以前、国内最大手SIerのデータセンターのサーバールームに入ったことがあるのですが、寒さで震えるほど冷房でキンキンに冷えていました。
6. 気温が高い時間はマイニングを止める
最後の手段として、マイニングを止めてしまいましょう。
これは全く冗談ではなく、小規模なGPUマイナーは夏場に止めることも珍しくありません。冷房費が固定費として発生する場合、ある程度の規模がないと電気代で赤字になってしまうので、これはこれで合理的な選択だと言えるでしょう。
CPU側の熱対策
ちなみに、CPUには温度が高くなるとクロック数(パフォーマンス)を落とす機能が備えられています。技術用語が多くて理解不足ですが、インテルの技術仕様書にも温度上昇でパフォーマンスを落とすという記載がありました。

経験ある方は分かると思いますが、吸気口を塞いでいてファンの冷却がワークしていない場合、CPUの温度が上昇すると急にハッシュレートが落ちます。
私の場合、CPUが90度近くになると「 1.79 khash/s → 1.10 khash/s 」くらいまでハッシュレートが落ちます。ちゃんと制御が働いているということでしょう。
さらには、温度が閾値を超えるとシャットダウンするみたいです(これは経験ありません)。
結論
長々と書いてしまいましたが、冒頭の「そこまで熱に敏感になり過ぎる必要ない」という結論は変わりません。
- フルパワーでCPUを使うときは保冷剤で冷却(溶けるの早い)
- 保冷剤を使えないときは -t 1 くらいにしてCPU使用率を落とす
こんな感じで私はラップトップPCにマイニングしてもらっています。
GPU 2枚差しにしているデスクトップPCは、GPUにだけ送風して放置しています。ただし、ちゃんとGPUはmsiのAfterburnerで温度は見ていて、そこにCPUの温度も表示されるので確認することは(CPUについてはほとんど見ていません)。

また、GPUマイニングの適正温度と熱対策のTipsについても、海外サイトで見つけた結論めいたものを記事にしています。こちらも参考にしてみてください。海外フォーラムでは、GPUの適正温度はほぼ結論が出ています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。この記事が、少しでもノートPCで挑むマイニングの熱対策に役立てば幸いです。